SPACE FACTORY 1994
in Yokohama  PART 1
『水の章〜浮舟』 「源氏物語」より
■概要 理性的な薫と情熱的な匂宮。二人の男性の間に挟まれて、運命に奔走され、自らの意志でどちらか一方を選択することもできぬまま必然的に死(=入水)へと追い込まれてゆく浮舟。彼女は思慮の浅い、自分の意志というものを持たぬ、ただ受動的に運命に盲従する人形のような個性のない女として描かれている。
しかし、果たしてそうだったのだろうか。
彼女は敢えてどちらも選ばなかった。彼女は、二人の男性のはるか向こうに、“水”によって象徴される別の世界を見ていたのではないだろうか。様々なしがらみから身も心も解き放たれ、真に自由に生きられる新たな世界。彼女は、彼女自身の意志で死(=水)を選びとったのだ。
何かに導かれるように宇治川へ身を投じてゆく浮舟の後ろ姿には、安堵を越えた喜びすら見える。