SPACE FACTORY 1995
in Yokohama  PART 2
『星合の刻』
■概要 上野の佐野の船橋とりはなし親は離くれど吾はさかるがへ(万葉集巻十四)

群馬県佐野地方に、昔のこの辺りに住んでいた男が川を隔てて住む女と恋仲になり“船橋”を道にして毎夜逢っていたが、これを嫌った二親が橋板を外しておいたのを知らずに、橋の上で出会おうとして二人とも踏みはずし、水中に落ちて死んでしまったという伝説がある。
何ごとにも個人の意志が尊重される現代人には、このような悲恋の物語はまったく無縁のものに思われる。が、ちょっと視点を変えてみると、今の世の中でも、本人たちの想いだけではどうすることもできない、例えば血のつながり、環境、さらには誰もが予想だにしていなかった天災など、運命とでもいうような様々な抗いがたい事情に翻弄され、結局は結ばれることのない恋人たちがやはりいる。
七夕の宵、悲嘆に暮れつつ離れ離れになった恋人たちが“天の川”で再びめぐり逢う。とめどなく溢れる互いへの想い。深く胸に刻まれたかつての至福の時と、そして突然ふりかかってきた悲劇の記憶。ほんの一刻の逢瀬はさらに彼らの想いをかきたてる。
“船橋”は二人をつなぐ唯一の道であり、そしてまた、二人を永遠に隔てる非情の橋でもある。